海外情報
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24-01EU下水処理指令の画期的改正案を欧州議会が可決
2024年4月10日、欧州議会は都市下水処理指令改正案を可決した。
この指令では、化学汚染物質、病原体、抗菌薬耐性の監視を強化し、四次処理として微量汚染物質の処理を導入し、医薬品と化粧品の生産者が拡大生産者責任として追加処理費用を負担した上で不足分は国が補填すること、水不足を防ぐために下水処理水の再利用を拡大すること、下水処理場のエネルギー中立を達成することなどが定められている。なお、都市規模別に対策導入時期が段階的に定められている。
出典 欧州議会:
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20240408IPR20307/new-eu-rules-to-improve-urban-wastewater-treatment-and-reuse
EWA Facebook: https://www.facebook.com/ewa.online.eu/posts/pfbid02iFn4FhGDhLfkAyHNMaTfAxQtJAvyRceH22saYMS7qx7E2V7ghkQgtKNyGrNe2Ug1l
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24-10水を含む重要インフラに関する新たな国家安全保障覚書をホワイトハウスが発表
2024年4月、米ホワイトハウスは、重要インフラのレジリエンスを確保し強化するための新たな国家安全保障覚書を発表した。
水セクターに関する公式のリスク管理機関であるEPAは外敵からのサイバー攻撃と気候変動の脅威を重視し、これらに対して水インフラ近代化の資金などを使ってレジリエンスを高める事が必要だと述べている。
出典 USEPA ニュースリリース
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-highlights-biden-harris-administrations-new-national-security-memorandum-critical
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24-11PFASの破壊と廃棄に関する最新暫定ガイダンスをEPAが発表
2024年4月9日、米EPAはPFAS廃棄物の最適な処理方法を提供し、環境への放出を抑え、コミュニティを保護することを目的とした技術情報をアップデートした。
地下圧入、埋立、特定条件下での熱処理に引き続き焦点を当てつつ、新たな科学的知見を取り入れたガイダンスとしており、今後も更新される。
出典USEPA:
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-releases-updated-interim-guidance-destroying-and-disposing-certain-pfas-and-pfas
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24-16全米水域保護に今後必要な下水インフラ費用をEPAが提出
2024年5月、EPAは既存のすべての処理施設からの技術データ解析に基づく水浄化インフラに関する2022年現在の調査報告を10年ぶりに議会に提出した。
その結果、米国の良好な水環境を保全するための下水処理、雨水インフラ、非点源制御、分散型下水処理への今後20年間の必要投資額は6,300億ドル超であることが明らかになった。
これに関しNACWAは、連邦政府の資金提供を増大させる必要がある、と指摘している。
出典 USEPA
https://www.epa.gov/newsreleases/new-epa-survey-highlights-wastewater-infrastructure-needs-protect-waterbodies
NACWA
https://www.nacwa.org/news-publications/press-release-details/press-release/2024/05/14/epa-clean-watershed-needs-survey-report-reinforces-importance-of-additional-federal-funding-for-water-infrastructure
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24-21EU水枠組み指令に基づく水サービスのコスト回収報告書をOECDが公開
2024年5月に発表されたOECDの報告書では、EU水枠組み指令に基づく水サービスのコスト回収の概念について、さまざまな種類のコストとコスト回収メカニズムを含めて検討している。
報告書では、EU加盟国におけるコスト回収の実施状況を示し、コスト回収に影響を与える政治的、社会的、技術的な問題を分析している。
出典:OECD
https://www.oecd.org/en/publications/cost-recovery-for-water-services-under-the-water-framework-directive_e2a363e3-en.html
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24-26全米下水処理場の処理成績を栄養塩ダッシュボードでEPAが提供
EPAは栄養塩除去研究ダッシュボードを公開している。
EPAは2019年から2021年にかけて、16,500の公有処理施設(POTW)に対して、任意で栄養塩除去の実態に関する調査を行い、2,000以上のPOTWが回答した。
小規模なものを除く約1,700のPOTWの結果が表示される。
水量、生物処理の種類、全窒素、アンモニア、全リンの処理水濃度の分布が図示され、各処理場のデータがダウンロードできる。
出典:EPA
https://clearinghouse.epa.gov/ords/wfc/f?p=259:49:9890176954457
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24-32
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24-38都市下水処理指令実施の技術評価2023-24をEUが公表
現行のEU都市下水処理指令の実施状況に関する技術報告。
2年ごとに発行されているもので加盟国の2020年現在のデータを基に作成されている。
EU域内で対象となる21,600の集積地(都市)のうち21,400は下水処理場で二次処理を、18,200は更に厳格な処理(高度処理)を受けている。
下水の収集、二次処理、高度処理が求められている集積地に関して、EU全体としての実施比率は93%、86%、88%と良好である。
しかし、旧東ヨーロッパ諸国の中には下水の収集と二次処理の実施率が非常に低い国々もある。
出典:欧州委員会
https://environment.ec.europa.eu/topics/water/urban-wastewater/implementation-reports_en
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24-46支払い可能水料金ニーズ評価をEPAが発表
米EPAはWater Affordability Needs Assessmentなる議会への報告書を発行した。
それによれば、全米で1,210-1,920万世帯が手ごろな料金の水サービスにアクセスできず、手ごろでない水料金の全米コストは毎年51-88億ドルである。
出典:EPA
https://www.epa.gov/waterfinancecenter/water-affordability-needs-assessment
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24-49EUが下水による感染症追跡のほぼリアルタイムのダッシュボードを導入
欧州委員会は下水によって感染症を監視し、疾病対策を迅速に進めるための、ほぼリアルタイムのダッシュボードシステムを開発し、一般に提供を始めた。
これは、既存の国別ダッシュボードと研究ベースのダッシュボードを統合して、EU全体のデータを表示するものである。
現在、このダッシュボードには、欧州 11 か国における 3 つの主要な病原体 (SARS-CoV-2、RS ウイルス (RSV)、インフルエンザ) に関するデータが含まれており、100 万件を超える測定結果によってサポートされている。
出典:欧州委員会
https://joint-research-centre.ec.europa.eu/jrc-news-and-updates/tracking-diseases-sewer-2025-01-29_en
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24-50EU水枠組み指令・洪水指令の実施報告書が公表、勧告
3年に一度公表される、EUの水枠組み指令、洪水指令の実施報告書である。
水枠組み指令に関してはいくつかの好ましい傾向が見られるものの、淡水の水質と量に関する EU の目標を達成するには、かなりの努力が必要であり、EU の表層水域の平均的な健全性は危機的状況にある、とされている(良好な生態学的状態達成は39.5%、良好な化学的状態達成は26.8%)。
2027年までに水管理を改善するために以下の重要な勧告を加盟国に対して行っている。
すなわち、農業由来の栄養塩汚染の制限、水管理対策のための資金確保、化学物質汚染に対する対応、水の再利用の促進と地下水保全、である。
この報告書に対して、その勧告を支持する、とEurEauは意見表明をしている。またデータ欠如が水管理上重要な問題だとの指摘がある。
出典:欧州委員会
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_25_342
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:52025DC0002
EurEau:
https://www.eureau.org/news/960-eureau-response-to-european-commission-report-on-water-quality
Water News Europe:
https://www.waternewseurope.com/missing-data-undermines-eu-water-management/
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24-54水セキュリティに係る新基準をASCEが公表
ASCE(米国土木学会)はGuidelines for the Physical Security of Water and wastewater/ Stormwater Utilities(上下水道/雨水事業者の物理的セキュリティのためのガイドライン)を2024年に定めた。
これはテロなどの攻撃に備えることを想定している。
従来の方法は、過去の攻撃イベントに基づき攻撃の影響を評価するものであったが、今回のガイドラインではその方法を変更した。
新ガイドラインでは、インフラの機能を数学モデル化し、テロなどの攻撃への対応を数学的に評価するものである。
出典:ASCE
https://www.asce.org/publications-and-news/civil-engineering-source/article/2025/01/09/new-asce-standard-transforms-water-security-practices-for-the-modern-era
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24-58欧州委員会が海洋戦略枠組み指令と水浴場指令を評価
2025年3月、欧州委員会は海洋の保護と陸上の水浴場の水質に関する2つの指令の評価を発表した。
海洋戦略枠組み指令の目的は一部達成されたが、海洋生物への影響の問題が解決されていない。
水浴指令については、健康および環境保護の実際のレベルを向上させる余地があるとしている。
出典:欧州委員会
https://environment.ec.europa.eu/news/commission-evaluates-sea-protection-and-bathing-water-quality-laws-2025-03-06_en
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