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筑後川昇開橋(福岡県)
大鳴門橋(兵庫県)
 

千葉大学大学院 工学研究院 准教授 天野 佳正 様

広報

課題を解決し社会貢献に繋げる為には、研究開発や技術審査の成果等を下水道関係者をはじめ社会へ普及していくことが重要です。

千葉大学大学院 工学研究院
 准教授 天野 佳正(あまの よしまさ)

第1回:自己紹介
 千葉大学の天野佳正です。
 共生応用化学コースにて町田基教授とともに環境化学研究室を運営しています。
 主に、「炭素系吸着剤の開発と水質汚染物質の吸着除去(町田教授)」、および「富栄養湖沼におけるアオコの発生機構解明と除去手法の開発(天野)」をメインテーマとして、大学院生5名、学部生3名、計8名の学生と研究に取り組んでいます。
 水質汚染は特にアジアの新興国で大きな問題となっていることから当研究室にはアジアからの留学生も多く、今後も中国やインドネシアからの留学生を受け入れ、精力的に研究を進めていく予定です。
第2回:アオコ発生湖沼を求めて
 当研究室では藍藻類のミクロキスティス属を主としたアオコに着目して研究を進めています。
 ミクロキスティス属は水温の高い夏季に異常増殖し、種によっては藍藻毒を分泌するため、特に水道水源となる湖沼では除去が求められています。
 アオコの研究では、継代培養株を用いた室内実験が主に行われていますが、当研究室では実湖沼に発生するアオコも実験に使用しています。
 このため、夏季には毎週のように印旛沼(千葉県)等までアオコ採取に行っています。
 もしアオコの発生している湖沼や貯水池をご存じでしたら、情報を頂けると幸いです。
第3回:アオコの発生状況
 猛暑が続いた2023年の夏、多くの湖沼でアオコが発生していました。
 例えば、茨城県の千波湖(7月)、千葉県の御蛇ヶ池や蓮沼(7月)、そして印旛沼(阿宗橋付近、7月~9月)です。
 印旛沼に関して、2022年時点では「下水道の普及によって最近アオコは発生していない」と地元の方に聞いていましたが、今年の夏はほぼ毎週のようにアオコが発生していました。
 地球温暖化による気温・水温上昇が如何にアオコの発生に強く影響を及ぼしているかが窺い知れ、今後、アオコの発生頻度が高まり、また発生期間も長くなることが容易に想像できました。
第4回:冬季のアオコ ―気温・水温上昇の影響?―
 夏季の千波湖には大量のアオコが発生しますので、毎年サンプリングしています。
 時間があれば冬にも湖水の様子を見に行きます。
 少し前になりますが、2019年1月に千波湖へ行った際、水面にうっすらとアオコが発生しているのを確認しました。
 私自身、冬にアオコを見たのは初めてで、地球温暖化に伴う気温・水温上昇の影響と予想しました。
 今後、地球温暖化の影響によりアオコの発生する湖沼が増えると予想されますが、このような状況下でもアオコを発生させないため、下水道の普及、すなわち徹底した栄養塩の削減がより重要になると感じました。
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