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筑後川昇開橋(福岡県)
大鳴門橋(兵庫県)
 

日本大学生産工学部土木工学科 教授 髙橋 岩仁 様

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課題を解決し社会貢献に繋げる為には、研究開発や技術審査の成果等を下水道関係者をはじめ社会へ普及していくことが重要です。

日本大学生産工学部土木工学科
 教授 髙橋 岩仁(たかはし いわひと)

第1回:自己紹介
 日本大学生産工学部土木工学科の髙橋です。下水道分野の中でも、排水処理や汚泥処理・有効利用を主な研究テーマにしています。
 大学院生時代には、電解処理によって脱水性を高めた下水汚泥を脱臭材として利用する研究に取り組んでいました。予想以上の良好な効果が得られ、研究の魅力を実感しました。
 現在は、高濃度塩分を含む排水の生物処理技術や、食品残渣なども含めた有機系廃棄物の集約処理・資源化、さらにはコンポスト化した下水汚泥に土壌改良材として竹資材を混合させた効果検証などの研究を行っています。
第2回:高濃度塩分排水処理
 海産加工場などから排出される高濃度の塩分を含んだ排水は、通常の活性汚泥法では微生物の活動が抑制されてしまいます。また、地球温暖化に伴う海面上昇や高潮が懸念される中、高塩分排水処理の重要性が増すと考えています。
 そこで、活性汚泥中に塩分に適応した菌叢が存在すると仮定し、塩分排水で馴致することで安定的な生物処理を試みました。その結果、塩分濃度を徐々に上昇させることで、海水と同程度の塩分濃度3.5%までの排水処理が可能であることが確認されました。今後はゲノム解析を通じて塩分環境に適応した菌叢を特定し、耐塩性微生物の利用や処理条件の最適化に取り組んでいく予定です。
第3回:ドイツでの学び
 2017年度に海外派遣研究員としてドイツのアーヘン工科大学に滞在しました。現地の教授やスタッフの皆さんはとても親切で、研究も極めて効率的に進められており、多くのことを学びました。下水処理場も多数見学させてもらいましたが、小規模施設でも消化タンクが設備されており、バイオガスとして有効利用されていたことに驚かされました。
 下水道は暮らしや産業を支える重要なインフラであると同時に、資源循環や脱炭素社会の実現にも貢献する役割があることを改めて実感しました。その可能性を広げる研究に、今後も取り組んでいきたいと思います。
第4回:下水道分野への興味
 当学科からこのコーナーに登場するのは私で4人目になるかと思います。生産工学部は実学を重視した教育を実施しており、今でいう「インターンシップ」にあたる科目が創設当時から必修科目として設置されていました。
 私自身が下水道に興味を持つようになったのも、大学3年生の夏休みに参加した法面緑化工事の現場実習がきっかけです。緑化基盤材にコンポスト化した下水汚泥が使われていたことに強い印象を受けました。
 それから30年近くたちますが、今は社会に技術者を送り出す立場として、学生に下水道分野に興味を持ってもらえるよう、今後も務めていきたいと思います。
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