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筑後川昇開橋(福岡県)
大鳴門橋(兵庫県)
 

千葉工業大学創造工学部都市環境工学科 教授 亀田 豊 様

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課題を解決し社会貢献に繋げる為には、研究開発や技術審査の成果等を下水道関係者をはじめ社会へ普及していくことが重要です。

千葉工業大学創造工学部都市環境工学科
 教授 亀田 豊(かめだ ゆたか)

第1回:自己紹介
 千葉工業大学にて、衛生工学の講義を担当しつつ、現在はマイクロプラスチックの環境中モニタリングと環境中挙動の解明を国内外で行っております。また、ISO(国際標準化機構)や国内機関で分析方法の確立に携わっております。
 加えて、最近では国際的に解決が急務とされている水環境中のタイヤ粉塵等のゴム粒子のモニタリングも行っております。これらの人為的合成物質は、最終的には生態リスクやヒト健康リスクの観点から世界的に規制の必要性が議論されますが、当然下水道システムを介した、水圏や陸域生態系およびヒトへの暴露量推定のため、モニタリングは重要となります。
第2回:下水中の人為的合成物質管理の女性研究者の重要性をEUで感じた!
 国内では女性の社会活躍の促進が叫ばれております。
 最近個人的に女性研究者の重要性を肌身で実感したのは、EUで行われた環境毒性及び環境化学に関する学会でした。この学会は発表者の6割以上が女性研究者で、委員会では男性はむしろ少数派になることもしばしばです。
 その発表の中で、プラセンタ(胎盤)を介したマイクロプラスチックの体内蓄積や胎盤細胞への毒性評価がありました。男性が女性の体内メカニズムを女性以上に知見や経験を有さないので、なんと重要な発表かとシンプルながら感銘を受けました。化粧品や日用品中の含有物質の研究にも女性研究者が活躍していました。
第3回:下水汚泥の農地還元に関する社会実装型学際研究を立ち上げたい!
 下水汚泥の農地還元が進むオランダでは、コンポストを介したマイクロプラスチックの土壌蓄積や、昆虫・ミミズなどへの生態影響評価が精力的に進められています。
 数μm以下のマイクロ~ナノプラスチックの分析技術は未確立で、実畑地での定量例や作物への移行に関する知見も乏しいのが現状です。注目すべきは、分析化学・衛生工学・農学といった分野横断的な研究が実践されている点で、日本とは対照的です。
 偶然にも私は、衛生工学、環境化学、農学さらにはDXや農業経営学を含めた社会実装型学際研究に着手する機会が得られそうです。楽しみです。
第4回:急速に利用されつつあるAI予測による生態・ヒト健康リスク評価の進む道
 人為的合成物質のリスク評価にAI予測技術の活用が進んでいます。
 現時点でのAI予測のコンセンサスは、予測精度はモデル自体よりも学習データセットの質の高さに依存するという点です。不確実性の低い、ノイズの少ない毒性データや環境中濃度の利用が重要で、様々なデータセットが開発されています。ただし、データセットが良くなっても、現時点でのAI予測は「ワイルドカード」にはならないとも議論されています。
 やはり、現時点でAIはインタラクティブな辞典と考え、その知識を人間の知性をもって構築する必要があると私は思います。AIネイティブ世代は特に気を付けてほしいです。
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