名港トリトン(愛知県)
秩父鉄道(埼玉県)
 

甲南大学経済学部 教授 足立 泰美 様

甲南大学経済学部
教授 足立 泰美(あだち よしみ)

第1回:自己紹介
 甲南大学経済学部の足立泰美と申します。私の研究テーマは、上水道・下水道・病院・介護施設など、地方公営企業の持続可能な財政運営の在り方です。
 効率的なサービス提供と安定した経営体制の両立を目指し、広域連携や官民連携、DXの推進、さらに適正な料金体系や財政措置(国庫補助金、交付税、繰入金など)の活用を検討しています。
学生とともに地域の現場に入り、実態に即した分析と提案を行うことを大切にしています。制度と暮らしをつなぐ研究に取り組んでいます。
第2回:地域とつながる、ゼミという旅
 私のゼミでは、「地域とともに未来を考える」ことを大切にしています。たとえば、JR西日本や阪急阪神の担当者をお招きし、人口減少時代における鉄道や交通インフラの将来について学んでいます。
 視察では現場の工夫に触れ、理解を深めます。加えて、地方財政や財政学の受講生を対象に、公共交通やインフラに関するアンケート調査も実施し、学生の暮らしと地域インフラとの関係をデータで捉える試みも行っています。
 教室の外に出て、人とまちに出会うことで得られる学びを、これからも大切にしていきたいと思います。
第3回:料金制度をめぐる知と現場の対話
 上下水道や医療、介護などの公共サービスでは、利用者負担と持続可能な経営とのバランスが常に問われます。
 私は、国や都道府県、市町村、企業団などで開催される有識者会議において、料金制度や財政措置の見直しに関する議論に加わってきました。独立採算制の理念のもと、フルコスト回収を目指すことが理想とされる一方で、地域の実情や住民の負担能力に応じた柔軟な制度設計も求められています。
 制度と現場の声を丁寧につなぐことが、私の研究の柱です。
第4回:現場から学び、現場に返す
 研究の出発点は、現場にあります。これまで、下水道施設や管渠、浄水施設、配水池、そして老朽化が進む管路の中まで視察し、現場の方々と直接お話を伺ってきました。
 その上で、PL(損益計算書)、BS(貸借対照表)、キャッシュフローなどの個票データを用い、経営の実態を丹念に検証しています。対面及びオンラインでのヒアリングや資料共有を続け、調査結果をYahoo!ニュース等で広く発信する試みも行ってきました。
 現場から学び、それをまた現場に返す——そんな研究を続けています。
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