名港トリトン(愛知県)
 

東京都立大学都市環境学部 都市基盤環境学科 教授 砂金 伸治 様

下水道機構とは

産・学・官の力を結集し、揺るがぬ連携のもとで技術の進展と普及を目指す「技術の橋わたし」です。

東京都立大学都市環境学部 都市基盤環境学科
教授 砂金 伸治(いさご のぶはる)

第1回:私は
 東京都立大学の砂金です。今回から4回分の「はしわたし」のお世話になります。どうぞよろしくお願いします。
 現在は大学に所属しておりますが、以前は国の研究所でトンネルに関する内容を取り扱っていました。国の機関による研究といっても、理論レベルからの追求だけに限らず、技術的基準の作成や、現場でトラブルが発生した場合等の支援を行うことが多く、それによって得られた知見や経験を「はしわたし」していく繰り返しでした。正解を求めるというより、様々な情報を集約して最適解を求めることが必要だったかもしれません。
第2回:将来への備え
 現場で発生したトラブルを見ると、要因がひとつに絞りきれる場合の方が少なかったように感じています。主たる要因なり原因はあるはずですが、それがひとつ顕在化しただけで、すぐさま致命的な事象に至ることのほうが少なく、むしろ、複数の、小さいかもしれない従たる要因が重なり合って大事に至ってしまうように感じています。必ずしも数字で語れるとは限らない事象をどのように捉え、それをもとに道筋を示していくのか、それと同時に、一つひとつを都度考え、それが将来につながることを見据えて備えていくことの重要性も感じていました。
第3回:失敗事例の物語
 将来を見据えた備えとして都度考えることがいいとなると、我々にできることは、考えられる人材を育てていくことが結局近道のように思います。その重要性は以前から言われているものの、さりとて、なかなか簡単ではないのが実態ではないでしょうか。実際どうすべきか? そう考えると事例から学ぶということになるのでしょうが、特に失敗事例を公にするのは難しい課題です。失敗事例をもとに、どこに注意すべきかという内容が盛り込まれた物語が作れないか……そのような実力をつけることができないのかと自分自身いつも考えています。
第4回:現場を見る際に
 失敗事例をもとにした、人に話せる物語を作ろうとすると、何が成功で、どこで失敗したか(もしくはそうなりそうか)という判断なり見通しがないと起承転結が組み立てられないかもしれません。そうなると、可能であれば「教えてもらえる人」と、少なくとも「一緒に復習をしてくれる人」とで、現場に足を運び考えることが結局基本なのかもしれません。技術としての過不足がどこにあるのかあったのか、それはおそらくAIなどでは今の時点ではまだ限界もありそうで、やはり、結局は人と人との「はしわたし」なんだろうと改めて思いました。
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